007 コーチのはたらきかけ

前回の006では、コーチの役割を説明しました。
では、実際に、コーチはクライアントにどのようなはたらきかけをするのでしょうか。

一般的な例をみてみましょう。
たとえば、スポーツであれば、チームの目標や目指すスタイルがあり、
そのためのトレーニングメニューを監督は組み、
それを、実際の試合で実現できるように指導していきます。

指導スタイルは様々でしょうが、
多くの場合、行動主体の力点は監督にあります。
監督のかかげるゴールを選手やスタッフが理解し、選手やスタッフはそのゴールを実現することを求められます。

この力点が監督よりに強くなればなるほど、監督は命令的になり、選手やスタッフにhave to感、義務感が生まれ、ふるいにかけられるように、監督の目に叶うものだけが残る結果となっていきます。

多くの企業や行政組織、学校、病院といった組織におこりがちな現象です。

実は、こうした旧来型の組織に対し、行動主体を個々人に求める自立統合型のコーチングを導入した場合、756倍の利益向上がみられた、というアメリカの調査結果があります。

何がおきたのでしょうか。

それは、
スポーツでいえば選手、スタッフ、
会社でいえば経営者と社員、
学校でいえば先生・生徒、
病院でいえば医師・看護師・経営者の
それぞれの人が自らwant toでゴールを設定し、
エフィカシーを上げるはたらきかけをし、
その集積として一段高い抽象度の共通のゴールにむけて個々人全体が有機的に行動したとき、

圧倒的な力が発揮されるということです。

その際、まず最初に重要なのは、組織論ではなく、ひとりひとりの力を十二分に発揮することです。
つまり、前回述べた「エフィカシーを上げる」という作業をひとりひとりが実行することです。

では、コーチは、クライアントのエフィカシーをあげるために、どのようなはたらきかけをしていくのでしょうか。

ひとつは、言語のコントロールです。
人は、様々な言葉を、たとえ言葉を発しなくても心のなかでつぶやいています。
このつぶやきが、実は行動に大きく影響しているのです。

人は、協調的に社会活動を行うために、あるいは、外聞のために、「本音とタテマエ」を使い分けて生きています。

いくらタテマエで耳障りのいいことを言っても、本音が逆だったりするとタテマエは実現しません。
意識と無意識の戦いにおいて、本音という無意識は圧倒的に強力だからです。

「勝つぞ」といくら大声で言っても、心の中で「はやく終わらせて帰りたいなあ」とか「ムリかも」なんておもったら、試合で勝てるわけがありません。

営業先に「あなたのために」なんて口で言っても「儲けをもらったらさっさとずらかろう」なんて考えている人から他人はモノを買いません。

親や友達や先生の手前「東大合格!」なんて紙に書いても、東大で勉強したいことが何にもなければ、受かるものではありません。

具体的な言語によるはたらきかけの手法には、様々な技がありますが、一例として、アファメーションがあげられます。
これは、クライアントの無意識をコントロールするために、言語を使って変えていく方法です。

もう一つは、非言語によるはたらきかけです。
実は、これが苫米地式コーチングの大きな特徴です。

人間社会は言語で形成されていますが、ひとりひとりの認知は、言語を超えたイメージの世界が圧倒的に大きいのです。
そこに直接的にはたらきかけていきます。

その具体的方法論はコーチごとに理論と実践から生み出された、いわば専売特許のようなものです。

いずれにしても、個人によってもっている世界も、ゴールも、ゴールの中身(コンテンツ)も違うのですから、
コーチはその場その場で相手のブリーフシステムを読み取り、ゴール設定を促し、
はたらきかけも、言語・非言語の方法論を織り交ぜながらその場その場で生み出していきます。

はたらきかけは、同じクライアントに対しても、毎回その場その場で生み出していきます。

昨日のその人、そのチーム、その組織は、今日のその人、そのチーム、その組織と違うからです。

もし過去のその人、そのチーム、その組織のイメージを固定してコーチングをした場合、コーチが進歩を妨げる障害となりかねません。

目の前のクライアントにすべてのエネルギーを注ぎ込んではたらきかけを生み出す、まさにクリエイティブなはたらきかけを行っているのが、苫米地式コーチなのです。

006 コーチの役割

さて、前回005 コーチングのスタートアップをお読みいただき、コーチングは、脳機能科学にもとづく、技術(スキル)で成り立っていることはご理解いただけましたでしょうか。
そのスキルを学ぶ上で、一番確実で近道な方法はなんでしょうか。
これは、コーチングに限らず、すべてのスキル習得と同じです。

あなたがこれまで習得したスキルを思い浮かべてみましょう。
言語、数学、仕事のスキル、趣味のスキル・・・
なかでもわかりやすいのが、言語。
日本語を学ぶときに、日本語が話せない人から日本語を学んだ、という人はいないでしょう。
親なり兄弟なりまわりの大人なり教師なり、日本語を話す多くの人から影響を受けて、今のあなたの日本語があるはずです。
もちろん、そのあと、本を読み、様々なメディアを通して、あなた自身の言語特性が備わったことでしょう。
しかし、その第一歩は、「日本語を話せる人」の真似です。

つまり、すでに習得した人から、直接学ぶ、ということです。
これは、すべてのスキル習得に通じます。

では、コーチングでは。
コーチングを実践した人から、直接コーチングを受ける。
これが一番確実で近道な方法です。

ただし、言語と違って、ひとつだけ気をつけるポイントがあります。

それは、コーチの役割は、「コーチングを実践した成功者」あるいは「コーチングの知識に詳しく、よってその知識を教える教師」では足りないのです。

では、何が必要か。

それは、「あなたのエフィカシーを上てくれる存在」という役割です。

エフィカシー、つまり、あなたにとっての現状の外側のゴールをあなたが「俺ならできる」「私ならできる」と確信させる役割です。

みなさんも、実感したことがあるかもしれませんが、
自分が目指す分野の成功者や偉大な人に実際にあってみると、
「俺にはこうはなれないな」
「俺には無理かも」
と思わせるオーラというか雰囲気があるものです。
そうした雰囲気は、得てしてまわりの、そしてあなたのエフィカシーを下げてしまいます。
エフィカシーを下げてしまってはコーチ失格です。

もちろん、「俺もコーチのようになれるかも」と思ってもらってもいいのですが
それは、「コーチのようなエフィカシーの高い人」です。
当然ながら、コーチのゴールの中身(コンテンツ)と、あなたのゴールの中身(コンテンツ)は違って当然です。

私も、苫米地博士のコーチングを受け、「俺ならできる」と思ってやってみたことがたくさんあります。
たとえば、博士は様々な車を所有していますが、私も所有したくなりました。
ただし、私が所有したのは、1960年代のジャガー。博士とは趣味も趣向もちがいます。

それで、いいのです。
大切なのは、自分のエフィカシーを上げてくれそうなコーチから、直にコーチングを受け、エフィカシーをもらった、という事実です。
「自分が本当に実現したいゴール、やりたいことであれば、自分はやれるんだ!」
「このコーチからコーチングを受ければ、そう確信できるんだ」
そう思えるコーチからコーチングを受けることが大切です。
「コーチングを受ける」に限っていえば、「エフィカシーを上げてくれる」コーチからコーチングを受けるのが大切であり、「資格がとれる」とか、「教えるのがうまい」というのは別のこと。
コーチの役割を一つあげるとすれば、それは、「クライアントのエフィカシーを上げること。」
であれば、コーチを選ぶのは、まさに、「このコーチなら私のエフィカシーを上げてくれる」と確信したクライアントであるあなたなのです。

005 コーチングのスタートアップ

前回は、コーチングの歴史についてお話しました。

それでは、問題を解決し、目指すゴールにむけて成功するために、どのようにコーチングをスタートすればいいのでしょうか。

ひとつは、コーチング理論を学ぶところからスタートする、です。

コーチング理論は、「マインドの使い方」についての理論です。

「エフィカシー」「ホメオスタシス」「創造的無意識」「ブリーフシステム」「コンフォートゾーン」といったコーチング用語が登場する脳機能科学(コグニティブサイエンス)を基とした理論を中心に学んでいきます。

こうした理論の知識については、苫米地英人博士の書籍や動画で触れることができます。

アマゾンで検索すればわかりますが、苫米地博士の著書は200冊以上。興味のあるタイトルの著書から読み始めればいいでしょう。

あるいは、苫米地アカデミーといったリアル講座や、DVD講座で学ぶことができます。

もうひとつは、実際にコーチングセッションを受けてスタートする、です。

コーチングセッションは2通り。1対多のコーチに対し複数人で受けるグループセッション、あるいは、コーチと1対1のプライベートセッション。

セッションでは、実施に、コーチが介入的にかかわりながら、マインドの使い方を実践します。

その際行うのは、主にブリーフシステムを変える「ブリーフシステムの書き換え」です。

ブリーフシステムが変わらない限り、情報空間の現状は変わりませんので、問題は解決しませんし、成功もおぼつきません。

その、ブリーフシステムの書き換えを、半年間かけてコーチングセッション中に行っていきます。

いずれにしても、努力も資質も必要ありません。

マインドの使い方を身につけるのは、誰にでも可能で、一度身につけば一生物のスキルです。

そして、いつのまにか、いろいろなことが実現していきます。

コーチの役割につづく