週刊コーチングとは<19>コーチングは「自分」から(仕事選びの前に)

仕事について。
私もそうでしたが、大学就職活動で誰もが「どんな会社を選ぼうか」という視点で就職活動を開始します。
さまざまな情報から会社を選び、エントリーしていく。

それは、受験という学校選びが「偏差値表」を基になされてきたためかもしれませんし
アルバイトを探す際に、アルバイト情報サイトで検索して選んできたせいかもしれません。

ただ、元々仕事は「縁」でつながり、「縁」で出会うものでした。
昭和の時代には、大学生の就職探しはOB訪問からスタートしていました。
それが、アルバイト情報雑誌という便利なツールが1970年頃から流行り、
リクルートという会社が全盛を迎え、
縁の媒体が人から情報誌、そして情報サイトへと移行していきました。
仕事は人を縁に出会うものから、リストから選ぶものへと変化していったのです。

その際、よくいわれたのが、自己分析。
自分の「やりたいこと」「できること」「需要のあること」という3分野の重なり合う部分で選ぶ、マッチングという作業が定番となりました。

これはこれで、間違っていない。
特に、今すぐ仕事につきたい再就職の場合には有効です。

ただ、特に「できること」と「需要」は自分と社会の未来ではなく、過去のデータを元にします。
特に学生にとって「できること」は未知。
これは、新たな分野へチャレンジしていきたいと考える大人も同じ。
転職といいながら、単なる転社になりかねません。

というわけで、もちろん「選ぶ」という作業は必要なのですが、まず仕事で持つべき視点は、職業観。
自分は、どんな機能を社会に提供したいか、という視点です。
そのためには、未来的に、できることを増やし、隠れた需要を作り出していく必要が生まれます。
必然的に「やりたいこと」も変化し、膨らんでいきます。
その先には、現在の自分ではない職業を通した未来の自分が描かれている。
そして、その未来像には、家族観、社会観といったゴールが広がっていきます。
つまり、まずゴールを描く必要があるのです。

その出発点は、自分。自分のマインドが生み出します。
いきなり、他人が並べたリストと自分の過去データをマッチングさせて選択してはいけません。
職業については、選んで終わり、ではなく、常に自ら作り出していく作業が必要です。
それを生み出すのは未来のゴール。

自らゴールを描き、ゴールを作り出していくには、コーチングの技術が不可欠です。
そして、自らの未来の視点、現状の外側の視点を得るのに必要なのは、それを理解しているコーチという他者の存在です。