週刊コーチングとは<20>環境が与える影響力

内閣府が2023年12月25日発表した2022年の1人あたりの名目国内総生産(GDP)は、ドル換算で3万4064ドル、円安の影響で前年の4万34ドルから大きく減らし、経済協力開発機構(OECD)加盟38か国中21位でした。イタリアに抜かれ、先進7か国(G7)で最下位となりました。
 1位はルクセンブルクで12万4592ドル。ノルウェー、アイルランドと続き、米国は5位、OECDに加盟していない中国は1万2720ドル。日本の21位は、比較可能な1980年以降で最も低い数値となっています。

さて、この「日本人一人当たりGDPの低下」については、様々な専門家がそれぞれの視点から分析しています。日本にオーセンティックなコーチングをもたらした苫米地博士もこの12月に『日本転生』(TAC出版)を出し、50の具体的な提言を述べています。詳しい説明はそれぞれの専門家に譲りますが、ここでは個人に与えるその影響について。

人は、それぞれの目的に応じて場所を区分します。
寝るなら、寝室、食事はダイニング、食事を作る際にはキッチン、事務仕事をするならオフィス、本を読むなら図書館、バレーボールをするならアリーナ、スキーをするならスキー場、車を思いっきり走らせたかったらサーキット、勉強するなら学校、心をきなくゲームをしたかったらゲーセン、車いじりがしたかったらガレージ、キャンプがしたければ誰もいない自然の中かキャンプ場・・・・等々。

これが、たとえばオフィスでバレーボールをされても困りますし、寝室で仕事をされても困りますし、スキー場でキャンプをされても困ります。誰が困るかと言うと、その場所をその機能どおりに使おうとする人が困るわけです。

ですから、「人物は環境がつくる」といいますが、そんなおおげさなことをいうまでもなく、人は無意識のうちに、その場その場に応じたふるまいをしようとするわけです。

東京には、音響効果の優れたクラシック音楽のためのホールがいくつもあります。赤坂にあるサントリーホールはその一つですが、誰が演奏しても美しい音楽になる・・・という代物ではありません。1980年代に、富士フィルムのインスタントカメラ「写ルンです」CMで樹木希林さんが「美しいものは美しく、そうでないものはそれなりに」というフレーズがブレイクしましたが、サントリーホールのようなホールで音程のひどい演奏をすると、それが「それなり」どころか「それなり」を超え、よりひどいことになります。私だけかもしれませんが、そんな演奏にあたると下痢か、ひどい場合は蕁麻疹がでてしまいます。

つまり、より機能に特化して作り上げられた場であればあるほど、その機能に順じた使い方をしないと、機能が発揮されないどころか人に悪影響を及ぼすことになるということです。

これは、空間のみならず、あらゆる道具にいえることです。
一般に初心者用の道具は汎用性があり、上級者用の道具になればなるほど適用範囲・用途が狭まっていきます。刃物、銃器、乗り物、工具など危険をともなう道具ほどその傾向は強まります。機能どおりに使わないと、危ない。

つまり、人間が作り上げた場所・空間や、空間づくりをするための道具類には、そこに機能が求められる限り、常に目的があり、目的以外のものを排除する「排他性」をともなうということです。

さて、話は戻りますが、一人当たりのGDPが低下していく環境で何が一番の問題なのでしょうか。一番の危惧は、生産性の低さがマジョリティとなり、頭脳生産性が高い人、しかるべき機能を発揮しようとしている人が排他的対象、つまり日本社会に居づらくなっていくことです。その結果は・・・

さらに、構造的に忖度作用が働くと、頭脳生産性を発揮しようとすればするほど、その人物自体が排他的対象となりやすくなります。そもそも本人自らその場に居づらくなります。いずらくなって外に出ていければまだいいのですが、人間というのは変化できますので、生産性の高いはずの人まで自ら生産性を低くしてその場にいつづけることができます。そうなると・・・

ではどうすればいいのか。続きはメルマガ「輝ける日々に変わるメルマガ」にて。